特定技能制度について
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足を解消するため、2019年4月に創設された新しい在留資格です。一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れることで、日本企業の成長と外国人労働者のキャリア形成の両立を目指しています。
📊 最新の受入れ状況(2024年度)
- 受入れ見込数:今後5年間で82万人(2019-2023年の約2.4倍)
- 対象分野:16分野に拡大(2024年3月に4分野追加)
- 制度改正:2025年4月1日より新制度施行
🤔 特定技能制度とは?(3分でわかる基本)
💡 制度の目的
日本国内の人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れ、日本経済の持続的発展を図ることを目的としています。
🎯 他の在留資格との違い
graph LR A[技能実習] -->|試験合格| B[特定技能1号] B -->|試験合格| C[特定技能2号] C -->|要件満たす| D[永住権] style A fill:#ffeb3b style B fill:#4caf50,color:#fff style C fill:#2196f3,color:#fff style D fill:#9c27b0,color:#fff
項目 | 技能実習 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|---|
制度の目的 | 国際貢献・技能移転 | 人手不足の解消 | 人手不足の解消 |
在留期間 | 最長5年 | 通算5年まで | 上限なし(更新可能) |
技能水準 | 基礎レベル | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
家族帯同 | 不可 | 不可 | 可能(配偶者・子) |
転職 | 原則不可 | 同一分野内で可能 | 同一分野内で可能 |
永住権 | 対象外 | 対象外 | 取得可能 |
支援義務 | 監理団体による監理 | 登録支援機関による支援必須 | 支援不要 |
📋 特定技能1号と2号の詳細比較
graph TB A[特定技能制度] --> B[特定技能1号] A --> C[特定技能2号] B --> B1[16分野] B --> B2[在留期間: 通算5年] B --> B3[家族帯同: 不可] B --> B4[支援: 必須] C --> C1[11分野] C --> C2[在留期間: 無制限] C --> C3[家族帯同: 可能] C --> C4[支援: 不要] style A fill:#1976d2,color:#fff style B fill:#4caf50,color:#fff style C fill:#ff9800
🔰 特定技能1号(相当程度の知識・経験が必要)
- 対象分野:16分野すべて
- 在留期間:1年、6ヶ月、4ヶ月ごとの更新、通算で最長5年
- 家族帯同:原則認められない
- 支援:登録支援機関による義務的支援が必須(10項目)
- 取得方法:技能試験 + 日本語試験に合格、または技能実習2号修了
⭐ 特定技能2号(熟練した技能が必要)
- 対象分野:11分野(介護を除く)
- 在留期間:3年、1年、6ヶ月ごとの更新、上限なし
- 家族帯同:可能(配偶者・子)
- 支援:不要
- 永住権:要件を満たせば取得可能
- 取得方法:特定技能2号技能試験に合格(分野による)
🏢 対象となる16分野の詳細(2024年最新)
🆕 2024年3月追加:自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野
各分野について、できること・できないことを明確に記載しています。誤解しやすいポイントにご注意ください。
1️⃣ 介護
主な業務:身体介護(入浴、食事、排せつ等の介助)、レクリエーションの実施、機能訓練の補助等
✅ できること:
- 身体介護業務全般
- 日本人介護職員と同様の業務
- 訪問介護も可能(一定の要件あり)
❌ できないこと:
- 訪問系サービス(訪問介護等)での単独業務(一定期間の同行後は可能)
- 医療行為(看護師資格が必要な業務)
⚠️ 注意点:介護分野は特定技能2号の対象外。在留資格「介護」へのステップアップが可能。
2️⃣ ビルクリーニング
主な業務:建築物内部の清掃業務
✅ できること:
- 建築物内部の清掃作業全般
- 事務所、商業施設、病院等の清掃
❌ できないこと:
- ホテルの客室のベッドメイキングのみ(宿泊分野に該当)
- 外壁清掃など危険を伴う高所作業
3️⃣ 工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
主な業務:機械・電気電子部品製造、金属プレス加工、溶接、めっき等
✅ できること:
- 18の製造業務区分の業務
- 日本人従業員と同様の付随業務
❌ できないこと:
- 単純な検品・梱包作業のみ
- 製造に関係のない倉庫作業のみ
4️⃣ 建設
主な業務:型枠施工、左官、鉄筋施工、内装仕上げ、とび、建設機械施工等
✅ できること:
- 19の建設業務区分の作業
- 複数の建設業務区分を兼ねることも可能
❌ できないこと:
- 現場管理のみの業務
- 資材運搬のみの業務
- 警備業務
⚠️ 注意点:建設業許可が必要。JACへの加入が必須。
5️⃣ 造船・舶用工業
主な業務:溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て
✅ できること:
- 6つの造船業務区分の作業
- 船舶の建造・修理業務
❌ できないこと:
- 単純な清掃・運搬作業のみ
6️⃣ 自動車整備
主な業務:日常点検整備、定期点検整備、分解整備
✅ できること:
- 自動車の点検・整備・修理業務
- 関連する整備補助業務
❌ できないこと:
- 洗車のみの業務
- 受付・事務作業のみ
- 部品販売のみ
7️⃣ 航空
主な業務:空港グランドハンドリング(地上走行支援、手荷物・貨物取扱い等)、航空機整備
✅ できること:
- 航空機の誘導、貨物・手荷物の取扱い
- 航空機の整備業務
❌ できないこと:
- 空港内の一般清掃のみ
- 旅客対応のみ(カウンター業務等)
8️⃣ 宿泊
主な業務:フロント業務、企画・広報、接客、レストランサービス
✅ できること:
- 宿泊施設でのフロント業務
- 接客、案内業務
- レストランサービス(宿泊施設内)
- 企画・広報業務
❌ できないこと:
- ベッドメイキングのみの業務(ビルクリーニング分野に該当)
- 調理のみの業務(外食業分野に該当)
⚠️ 注意点:宿泊施設での包括的なサービス提供が前提。単一業務のみは不可。
9️⃣ 農業
主な業務:耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
✅ できること:
- 農作物の栽培、収穫、出荷作業
- 畜産動物の飼養管理
- 農業機械の操作
❌ できないこと:
- 選別・梱包作業のみ
- 農産物加工のみ(飲食料品製造業分野に該当)
🔟 漁業
主な業務:漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作等)、養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理等)
✅ できること:
- 漁業全般(漁労作業)
- 養殖業全般(育成・管理)
❌ できないこと:
- 水産物の加工のみ(飲食料品製造業分野に該当)
- 市場での販売のみ
1️⃣1️⃣ 飲食料品製造業
主な業務:飲食料品製造業全般(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生
✅ できること:
- 食品の製造・加工作業
- 製造ラインでの業務全般
- 日本人従業員と同程度の付随的業務(原料受入、製品納品、清掃等)
❌ できないこと:
- 梱包・包装作業のみ(製造・加工を伴わない単純梱包は不可)
- 検品のみの業務
- 倉庫での保管・運搬作業のみ
- 酒類の製造
⚠️ 重要:製造・加工業務を主として行い、付随的に梱包を行うのは可能。日本人従業員と同じ業務範囲であることが条件。
1️⃣2️⃣ 外食業
主な業務:飲食物調理、接客、店舗管理
✅ できること:
- 調理業務全般
- ホール・接客業務
- 店舗管理業務
- 調理と接客の両方を兼ねることも可能
❌ できないこと:
- デリバリーのみの業務(調理・接客を伴わない配達のみは不可)
- 皿洗いのみの業務
- 宿泊施設での食事提供のみ(宿泊分野に該当)
⚠️ 注意点:外食業協議会への加入が必須(受入後4ヶ月以内)。
1️⃣3️⃣ 🆕 自動車運送業(2024年3月追加)
主な業務:貨物自動車運送、旅客自動車運送
✅ できること:
- トラック運転業務
- バス・タクシー運転業務
- 配送・運送に関する業務
❌ できないこと:
- 運転業務を伴わない倉庫作業のみ
- 荷物の積み下ろしのみ
⚠️ 注意点:日本の運転免許取得が前提条件。
1️⃣4️⃣ 🆕 鉄道(2024年3月追加)
主な業務:鉄道車両の整備、鉄道車両の運転
✅ できること:
- 鉄道車両の点検・整備業務
- 鉄道車両の運転業務
❌ できないこと:
- 駅務業務のみ(改札、案内等)
- 清掃作業のみ
1️⃣5️⃣ 🆕 林業(2024年3月追加)
主な業務:伐木、造材、集材、運材、山林種苗生産等
✅ できること:
- 伐採・造材業務
- 育林業務
- 森林管理業務
❌ できないこと:
- 木材加工のみ(木材産業分野に該当)
- 運搬のみの業務
1️⃣6️⃣ 🆕 木材産業(2024年3月追加)
主な業務:製材、木材加工、木製品製造
✅ できること:
- 製材機械の操作
- 木材の加工作業
- 木製品の製造
❌ できないこと:
- 原木の運搬のみ
- 製品の梱包・出荷作業のみ
📌 共通の注意事項
- 特定技能では、日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事することは可能
- ただし、単一の単純作業のみに専ら従事することは認められない
- 業務の主たる部分が、各分野で定められた業務に該当する必要がある
📝 特定技能1号の取得方法
graph TB A[特定技能1号を取得するには] --> B[ルート1: 試験に合格] A --> C[ルート2: 技能実習から移行] B --> B1[技能試験合格
分野別] B --> B2[日本語試験合格
N4以上または
国際交流基金日本語基礎テスト] B1 --> D[在留資格申請] B2 --> D C --> C1[技能実習2号を
良好に修了] C1 --> D D --> E[特定技能1号取得] style A fill:#1976d2,color:#fff style B fill:#4caf50,color:#fff style C fill:#ff9800 style E fill:#9c27b0,color:#fff
ルート1:試験合格
- 技能試験:各分野で実施される技能測定試験に合格
- 日本語試験:日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格
ルート2:技能実習からの移行
- 技能実習2号を良好に修了した場合、試験免除で特定技能1号へ移行可能
🔄 2025年4月の主な制度変更点
📌 重要な変更点
- 定期届出:四半期ごと → 年1回に変更(4月1日〜翌年3月31日分を5月31日までに提出)
- 随時届出:1ヶ月以上就労していない場合の届出が必要に
- 協力確認書:初めて受け入れる場合、地方公共団体への提出が必須
- 在留期間:特定技能1号移行予定者の在留期間を4ヶ月→6ヶ月に延長
💼 登録支援機関の役割
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、義務的支援(10項目)を実施する必要があります。登録支援機関に委託することで、この支援義務を適切に履行できます。