【2027年4月施行】育成就労制度とは?技能実習・特定技能との違いを徹底解説
2026年2月、出入国在留管理庁と厚生労働省が「育成就労制度 運用要領」を公表しました。2027年4月1日から施行される新制度は、技能実習制度を発展的に解消し、外国人材の育成と人材確保を両立する制度です。本記事では、運用要領の内容をもとに、受入企業が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 育成就労制度の目的と概要
- 技能実習制度・特定技能制度との違い
- 受入企業に求められる要件と手続き
- 転籍(職場変更)の新ルール
- 外国人材のキャリアパスと企業が準備すべきこと
- 監理支援機関の役割と許可制度
育成就労制度とは
育成就労制度は、人手不足分野において、外国人に日本での就労を通じて技能を修得させ、特定技能1号水準の人材を育成することを目的に創設された制度です。
令和6年(2024年)6月21日に「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布され、令和9年(2027年)4月1日から育成就労外国人の受入れが開始されます。
これにより、従来の技能実習制度は発展的に解消されます。技能実習制度では「国際貢献(技能移転)」が建前上の目的でしたが、育成就労制度では「人材育成」と「人材確保」の両立が正面から掲げられています。
技能実習・特定技能との比較
| 項目 | 技能実習 (2027年廃止) |
育成就労 (2027年4月〜) |
特定技能1号 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 国際貢献(技能移転) | 人材育成 + 人材確保 | 即戦力の人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 基本3年 | 最長5年 |
| 転籍(職場変更) | 原則不可 | 一定条件で可能 | 自由 |
| 監理機関 | 監理団体(許可制) | 監理支援機関(許可制・要件厳格化) | 登録支援機関(登録制) |
| 特定技能への移行 | 試験合格で可能 | 制度設計に組み込み済み | — |
| 日本語要件 | 要件なし | 入国時A1(就労開始後A2到達目標) | N4相当以上 |
| 送出機関の費用 | 上限なし(高額問題あり) | 上限規制あり | — |
制度の8つのポイント
1. 育成就労計画の認定制
育成就労を行うには、育成就労計画を作成し、外国人育成就労機構(機構)から認定を受ける必要があります。計画には、育成就労外国人ごとの3年間の育成内容を記載します。認定申請は開始予定日の6か月前から可能で、4か月前までに行うことが推奨されています。
2. 外国人育成就労機構の設立
現在の外国人技能実習機構(OTIT)に代わり、外国人育成就労機構が設立されます。機構は、育成就労計画の認定、届出の受理、監理支援機関の許可申請の受理、実地検査・報告徴収などの業務を行います。
3. 転籍(職場変更)が可能に
育成就労制度の最大の変更点の一つが、一定条件での転籍(職場変更)が認められることです。転籍には以下の2種類があります。
- やむを得ない事情による転籍:ハラスメント、賃金未払い、育成就労計画の認定取消し等の場合
- 本人の意向による転籍:同一企業で1年超就労し、技能検定試験基礎級等に合格し、日本語能力A1相当以上であること等が条件(転籍制限期間は分野ごとに1年超〜2年以下の範囲で設定)
企業への影響
転籍が可能になることで、労働環境の良い企業に人材が集まる傾向が強まります。給与水準、職場環境、キャリア支援の充実度が、人材を引きつけ、定着させるための重要な差別化要因になります。
4. 監理支援機関の許可制
技能実習の「監理団体」に代わり、監理支援機関が新設されます。監理支援事業を行うには主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)から許可を受ける必要があり、従来よりも要件が厳格化されます。なお、技能実習制度で監理団体の許可を受けていた団体が育成就労制度下で事業を行うには、別途新たに許可を取得する必要があります。
5. 日本語能力の要件強化
育成就労外国人には段階的な日本語能力の向上が求められます。
- 就労開始時:日本語能力A1相当(JLPT N5またはJFT-Basic A1等)
- 育成就労中:A2相当(JLPT N4等)への到達を目標
- 特定技能1号移行時:育成就労評価試験の合格 + 日本語能力A2相当以上
育成就労実施者(受入企業)には、日本語能力の向上のための日本語学習の機会の提供が義務付けられます。
6. 外国人材の保護強化
育成就労法では、外国人の保護のために以下の規定が設けられています。
- 育成就労の強制、違約金設定、旅券・在留カードの保管等の禁止行為の明確化
- 法令違反があった場合の通報・申告制度の整備
- 人権侵害行為を受けた外国人が引き続き育成就労を継続できるよう、転籍を支援する体制の整備
- 送出機関に支払う費用の上限規制(高額手数料問題への対応)
7. 受入企業に求められる体制
育成就労実施者(受入企業)には、以下の体制整備が求められます。
- 育成就労責任者の選任(役員または常勤の従業員)
- 育成就労指導員の選任(業務に5年以上の経験を持つ常勤従業員)
- 生活相談員の選任(常勤の従業員)
- 日本人と同等以上の報酬の支払い
- 宿泊施設の確保(1人あたり4.5平方メートル以上の寝室面積)
- 帰国旅費の負担
- 労災保険関係の成立、社会保険・租税の法令遵守
8. キャリアパスの明確化
育成就労制度では、育成就労(3年)から特定技能1号(5年)、さらに特定技能2号(在留期間更新の上限なし)への明確なキャリアパスが制度に組み込まれています。
外国人材のキャリアパス
(3年)
(5年)
(上限なし・家族帯同可)
※特定技能2号は介護を除くほぼ全分野で取得可能(2023年6月〜)
受入れ開始までの流れ
監理支援機関の選定
監理型育成就労を行う場合は、許可を受けた監理支援機関を選定し、監理支援を受けます。監理支援機関は、育成就労計画の作成指導、外国の送出機関との連携を行います。
育成就労計画の認定申請
外国人育成就労機構の地方事務所・支所に申請。開始予定日の6か月前から可能、4か月前までに申請が推奨されています。
認定通知書の交付
機構の審査を経て、認定または不認定の通知書が交付されます。認定通知書は、転籍等の各種手続きにも必要な重要書類です。
在留資格認定証明書の交付申請
育成就労計画の認定通知書を添付して、地方出入国在留管理局に申請。在留資格「育成就労」の認定証明書の交付を受けます。
入国・育成就労開始
在留資格認定証明書をもとに、外国人が在外日本公館でビザを取得し入国。在留資格「育成就労」での就労が開始されます。入国後は入国後講習を実施します。
企業が今から準備すべきこと
2027年4月の施行に向けて、受入企業が今から準備すべきポイントをまとめます。
-
1. 現行の技能実習生への対応方針の確認
施行後の経過措置により、現在の技能実習生は旧制度のまま在留を続けることも、育成就労への移行も可能です。自社の技能実習生の在留期間と照らし合わせて、対応方針を検討しましょう -
2. 転籍を前提とした労働環境の整備
転籍が認められるため、「選ばれる企業」になることが重要です。適正な報酬水準、働きやすい職場環境、日本語学習のサポート体制を整えましょう -
3. 監理支援機関の情報収集
現在の監理団体が育成就労制度下でも引き続き対応可能か確認し、新制度に対応した監理支援機関との関係構築を進めましょう -
4. 育成就労責任者・指導員の選定
育成就労責任者(役員・常勤従業員)、育成就労指導員(5年以上経験者)、生活相談員の候補者を社内で選定しておきましょう -
5. 特定技能への移行を見据えた長期計画
育成就労(3年)→特定技能1号(5年)→特定技能2号の一貫したキャリアパスを設計し、長期的に活躍できる体制を整えることが、人材確保の鍵です
まとめ
育成就労制度は、技能実習制度の課題を踏まえ、外国人材の人権保護を強化しつつ、人材育成と人材確保を両立する新しい制度です。2027年4月の施行まで約1年。転籍の柔軟化、日本語能力の段階的要件、監理支援機関の新設など、受入企業にとって大きな変化が生じます。
UTIは登録支援機関として、特定技能外国人の受入支援に豊富な実績があります。育成就労制度への対応についても、最新の制度動向を踏まえたご提案が可能です。制度改正への準備は、早めに着手することをお勧めします。
出典
出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領」(令和8年2月)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)
この記事へのコメントはありません。