製造業の特定技能受入費用シミュレーション【2026年版】3人・5人の実額試算
「特定技能で外国人材を受け入れたいが、結局いくらかかるのか分からない」——製造業の人事担当者・工場長から最も多く寄せられる質問です。紹介料や支援委託費など項目ごとの相場情報は世の中に数多くありますが、「3人採用したら1年目にいくら、2年目からいくらになるのか」を通しで試算した情報は多くありません。
本記事では、中小製造業(従業員50〜300名規模)を対象に、特定技能外国人を3人・5人受け入れた場合の費用を初期費用から2年目以降の運用費まで実額でシミュレーションします。あわせて2027年(令和9年)施行予定の技能実習「育成就労」への移行に伴う製造業特化コスト比較、そして見落とされがちな社会保険料・分野別協議会費まで含めた「本当の総額」を明らかにします。
製造業の特定技能受入れ費用、全体像
特定技能外国人を受け入れる際の費用は、大きく「初期費用(採用時に一度)」と「月次費用(在籍中ずっと)」の2種類に分かれます。まずは1名あたりの費用相場を確認しましょう。
初期費用(1名あたり)
| 費用項目 | 1名あたり目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介料 | 15万〜25万円 | 出入国在留管理庁の調査では10万〜30万円が最多価格帯 |
| 在留資格 申請取次サービス | 3万〜10万円 | UTI利用時は申請取次サービス3万円/件。申請書類の作成は提携行政書士が担当し、出入国在留管理庁への提出は登録支援機関の申請取次で対応 |
| 渡航費 | 10万〜15万円 | 海外からの新規採用の場合。国内在住者(技能実習修了者等)の切替なら不要 |
| 住居確保費用 | 15万〜20万円 | 家具・家電・敷金等。社宅・寮の活用で圧縮可能 |
月次費用(1名あたり)
| 費用項目 | 1名あたり目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 給与 | 21万〜23万円 | 出入国在留管理庁の集計(令和7年6月分・所定内給与、前年比+4.8%)では特定技能外国人の平均給与は月額221,400円。日本人の同等職種と同水準以上が必須 |
| 社会保険料(事業主負担) | 給与の約15% | 雇用保険・社会保険とも日本人と同条件。見落とされがちだが総額に大きく影響 |
| 登録支援機関 支援委託費 | 2.5万〜3万円 | 出入国在留管理庁調査での平均額は28,386円/月 |
製造業(工業製品製造業分野)ではさらに、分野別協議会「JAIM(工業製品製造技能人材機構)」への賛助会員加入が必須です。2025年7月に入会手続きの受付が始まり、2025年12月26日以降はJAIM賛助会員名簿への登載が在留諸申請の要件となりました(詳細は出入国在留管理庁の案内参照)。年会費は中小企業で本則12万円(2025年度は経過措置で半額の6万円、大企業は8万円)です。2026年度以降に新規入会する企業は本則12万円が適用されます。1社あたり年1回の固定費として、初期費用と合わせて予算化しておく必要があります。
より詳細な費目別の内訳は「特定技能外国人の採用にかかる費用は?」でも解説しています。ここから先は、この単価をもとに複数名受入れの実額シミュレーションを行います。
【シミュレーション1】3人受入れの場合の年間コスト
ここでは費用を2つに分けて積み上げます。ひとつは「特定技能ならではの追加費用」(紹介料・在留資格関連・渡航/住居準備・支援委託費・JAIM会費)。もうひとつは「日本人採用でも同等にかかる労務費」(給与・社会保険料)です。この2つを混ぜて「総額」だけを見ると、特定技能を選ぶことで実際に増える費用が見えにくくなります。海外からの新規採用を想定した単価(紹介料20万円・申請取次サービス3万円・渡航費12万円・住居確保費用15万円、支援委託費2.8万円/月)で試算します。
特定技能ならではの追加費用(3名受入れ)
| 項目 | 1名あたり | 3名合計 |
|---|---|---|
| 人材紹介料 | 20万円 | 60万円 |
| 在留資格 申請取次サービス | 3万円 | 9万円 |
| 渡航費 | 12万円 | 36万円 |
| 住居確保費用 | 15万円 | 45万円 |
| JAIM賛助会員年会費(会社単位) | ─ | 12万円 |
| 追加費用 初期合計 | ─ | 162万円 |
| 登録支援機関 支援委託費(月次) | 2.8万円/月 | 8.4万円/月 |
| 追加費用 年間運用費(月次×12ヶ月) | ─ | 100.8万円 |
| 追加費用 1年目 合計 | ─ | 262.8万円 |
※ JAIM年会費は2026年度以降の本則12万円(中小企業)で試算しています。2025年度中に入会手続きを行った企業には経過措置で6万円(大企業8万円)が適用されていました。最新の年会費はJAIM公式サイトでご確認ください。
参考:日本人採用と同等にかかる労務費(3名分)
特定技能外国人にも、日本人と同水準以上の給与・雇用保険/社会保険加入が法定要件です。つまり「外国人だから人件費が安くなる」わけではありません。以下は特定技能ならではの費用ではなく、日本人を採用しても同様に発生する労務費です。
| 項目 | 1名あたり | 3名合計(月額) |
|---|---|---|
| 給与 | 22万円/月 | 66万円/月 |
| 社会保険料(事業主負担、約15%) | 3.3万円/月 | 9.9万円/月 |
| 労務費 月額合計 | ─ | 75.9万円/月 |
| 労務費 年間 | ─ | 910.8万円 |
3人受入れ 総額(追加費用+労務費)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 特定技能ならではの追加費用(1年目) | 262.8万円 |
| 日本人と同水準の労務費(年間) | 910.8万円 |
| 1年目 総額 | 約1,174万円 |
| 1人あたり年換算 | 約391万円 |
複数名を同時に採用する場合、紹介会社との交渉による割引や、住居費のシェアハウス活用などでさらにコストを圧縮できるケースがあります。ここではあくまで目安単価での試算です。
【シミュレーション2】5人受入れの場合の年間コスト
同じ単価前提で5名受け入れる場合の試算です。
特定技能ならではの追加費用(5名受入れ)
| 項目 | 1名あたり | 5名合計 |
|---|---|---|
| 人材紹介料 | 20万円 | 100万円 |
| 在留資格 申請取次サービス | 3万円 | 15万円 |
| 渡航費 | 12万円 | 60万円 |
| 住居確保費用 | 15万円 | 75万円 |
| JAIM賛助会員年会費(会社単位) | ─ | 12万円 |
| 追加費用 初期合計 | ─ | 262万円 |
| 登録支援機関 支援委託費(月次) | 2.8万円/月 | 14万円/月 |
| 追加費用 年間運用費(月次×12ヶ月) | ─ | 168万円 |
| 追加費用 1年目 合計 | ─ | 430万円 |
※ JAIM年会費は3人受入れのケースと同じく、2026年度以降の本則12万円(中小企業、会社単位で受入人数によらず定額)で試算しています。
参考:日本人採用と同等にかかる労務費(5名分)
| 項目 | 1名あたり | 5名合計(月額) |
|---|---|---|
| 給与 | 22万円/月 | 110万円/月 |
| 社会保険料(事業主負担、約15%) | 3.3万円/月 | 16.5万円/月 |
| 労務費 月額合計 | ─ | 126.5万円/月 |
| 労務費 年間 | ─ | 1,518万円 |
5人受入れ 総額(追加費用+労務費)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 特定技能ならではの追加費用(1年目) | 430万円 |
| 日本人と同水準の労務費(年間) | 1,518万円 |
| 1年目 総額 | 約1,948万円 |
| 1人あたり年換算 | 約390万円 |
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3人・5人いずれのケースも1人あたり年換算はおおむね390万〜391万円で大きくは変わりません。人数が増えても1人あたり単価がほぼ一定なのは、JAIM年会費など固定費の割合が小さいためです。逆に言えば、固定費の負担が相対的に軽くなる分、5人以上の同時受入れの方がスケールメリットが出やすいとも言えます。なお総額のうち労務費(日本人採用でも同等に発生する部分)が約78%を占めており、特定技能ならではの追加費用は総額の2割強程度であることも押さえておきたいポイントです。
2年目以降のランニングコストはどう変わるか
初期費用(紹介料・渡航費・住居確保費用)は初年度のみの一時費用です。離職がなく同じ人材が継続勤務する前提であれば、2年目以降は「追加費用側の月次運用費+JAIM年会費」と「労務費」のみが継続します。
| 受入人数 | 1年目総額 | 2年目以降 年額 | 2年目以降の減少率 |
|---|---|---|---|
| 3人 | 約1,174万円 | 約1,024万円 | 約13%減 |
| 5人 | 約1,948万円 | 約1,698万円 | 約13%減 |
※ 2年目以降もJAIM年会費は本則12万円(会社単位、年1回)が継続する前提です。労務費(給与・社会保険料)は1年目と同額で試算しており、実際は昇給や社会保険料率改定により変動する場合があります。
在留資格「特定技能1号」は通算上限5年です。2号への移行が可能な業務区分(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業など)であれば、2号移行後も同様の運用費構造が続き、家族帯同や在留期間更新の上限撤廃といった変化はあるものの、費用面での急激な増加要因は多くありません。長期的な採用計画を立てる際は「1年目の初期費用込みの総額」だけでなく「2年目以降の実質ランニングコスト」で比較することが重要です。
特定技能 vs 育成就労(技能実習)製造業でのコスト比較
2027年(令和9年)施行予定の技能実習「育成就労」への移行に伴い、「特定技能の直接雇用」と「育成就労(監理団体を通じた受入れ)」のどちらが自社に合うか、コスト面で迷う製造業経営者は少なくありません。同水準の給与(月22万円)を前提に、月次費用のみで比較します。
| 費用項目 | 特定技能(直接雇用) | 育成就労(監理団体経由) |
|---|---|---|
| 給与 | 22万円 | 22万円 |
| 社会保険料(事業主負担) | 3.3万円 | 3.3万円 |
| 支援委託費・監理費 | 2.8万円(登録支援機関) | 3万〜5万円(監理団体、平均4万円想定) |
| 送出機関費(月次の機関費) | ─ | 0.5万〜1万円(平均0.75万円想定) |
| 1人あたり月額合計 | 28.1万円 | 30.05万円 |
| 年間差額(1人あたり) | 育成就労の方が約23.4万円/年 高い | |
※ 上表の「送出機関費」は入国後も継続して送出機関に支払う月次の機関費(0.5万〜1万円/月)を指します。採用時に一度だけ発生する送出機関への一時金(20万〜40万円程度、人材紹介料に相当する枠)は初期費用側の別項目のため、本表の月次比較には含めていません。初期費用込みの総額比較は「育成就労 vs 特定技能 直接採用|コストと期間を徹底比較」をご覧ください。
3人受入れなら年間差額は約70万円、5人なら約117万円。同じ給与水準で比較した場合、育成就労は2027年(令和9年)施行予定の制度で監理支援機関の体制要件強化(常勤2名以上、外部監査人の設置等)が予定されており、その分の固定費が監理費に上乗せされる可能性が指摘されています。一方で育成就労には転籍要件など特定技能とは異なる制度上の制約もあるため、コストだけでなく人材の在留状況(技能実習修了者がいるか、新規海外採用か)を踏まえた総合判断が必要です。制度面・手続き期間まで含めた詳細比較は「育成就労 vs 特定技能 直接採用|コストと期間を徹底比較」で解説しています。
コストを抑える4つの実践ポイント
1. 国内在住者(技能実習修了者)を優先的に検討する
海外からの新規採用では渡航費(10万〜15万円/人)が発生しますが、技能実習を良好に修了した国内在住者を在留資格変更で受け入れる場合は渡航費が不要になり、手続き期間も短縮されます。詳しくは製造業の査証判定解説記事もあわせてご確認ください。
2. 複数名同時受入れでスケールメリットを出す
シミュレーションで見た通り、JAIM年会費など会社単位の固定費は人数が増えても変わりません。住居費もシェアハウス活用で1人あたり単価を下げられるため、可能であれば3〜5人規模でまとめて計画するとコスト効率が高まります。
3. 支援委託費の内訳を必ず確認する
登録支援機関によって「月額一括型」と「項目別支払い型」があり、後者は一時帰国支援や生活オリエンテーションなどが追加費用になるケースがあります。契約前に、義務的支援10項目がすべて月額に含まれているかを確認しましょう。中小製造業向けの受入れ全体の流れは製造業受入ガイドで解説しています。
4. 10名以上の一括採用なら紹介料そのものをゼロにする
株式会社UTIの場合(2026年7月時点で実施中のキャンペーン)
10名以上の一括採用で紹介料無料
UTIでは、10名以上を同時採用し登録支援委託もあわせてご依頼いただく場合、人材紹介料が0円になります。上記シミュレーションの単価(紹介料 約25万〜30万円/人)で計算すると、10名同時受入れなら紹介料 約25万〜30万円×10名=約250万〜300万円が0円になる計算です。
※ 上記は一般的な相場試算とは別枠の、UTI独自のキャンペーン条件です。適用条件(同時受入人数・契約期間・対象分野等)の詳細は個別にご相談ください。キャンペーン内容は予告なく変更・終了する場合があります。
自社の場合はいくらかかる? 60秒で受入可否を診断
ここまでのシミュレーションはあくまで一般的な単価に基づく試算です。実際の費用は「国内在住者か海外採用か」「地域(住居費の差)」「受入人数」によって変動します。
自社が特定技能を受け入れられるか、まず60秒でチェック
従業員規模・業務内容を入力するだけで、受入可否の目安と次のステップが分かります。
より詳しい費用試算表(3人・5人以外の人数、国内/海外採用別の内訳)が必要な場合は、以下から無料資料をダウンロードください。
工業製品製造業に特化したサービス内容は工業製品製造業×特定技能のご案内、製造業全般のサービス詳細は製造業向け特定技能人材サービスをご覧ください。
よくある質問
Q. 3人と5人、どちらが1人あたりのコストは安くなりますか?
A. 本シミュレーションでは1人あたり年換算費用(追加費用+労務費の総額)はほぼ同水準(390万〜391万円)でした。ただし住居のシェアハウス活用や紹介会社との交渉次第では、5人以上の同時受入れの方が1人あたり単価を下げやすい傾向があります。なお10名以上を一括採用する場合はUTIの紹介料無料キャンペーン対象となり、さらに単価を下げられます。
Q. 支援委託費はなぜ幅(2.5万〜3万円)があるのですか?
A. 登録支援機関によって支援内容の範囲・多言語対応の有無・訪問頻度などが異なるためです。出入国在留管理庁の調査では平均28,386円/月となっていますが、契約前に義務的支援10項目がすべて含まれるか確認することをお勧めします。
Q. JAIM(工業製品製造技能人材機構)の年会費はどのタイミングで発生しますか?
A. 工業製品製造業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、JAIM賛助会員への加入が必須です。2025年7月に入会手続きの受付が始まり、2025年12月26日以降はJAIM賛助会員名簿への登載が在留諸申請の要件となりました。年会費は中小企業で本則12万円が目安(2025年度は経過措置で半額の6万円、大企業は8万円)で、受入人数に関わらず1社あたりの固定費として発生します。
Q. 社会保険料を含めた総額で考える必要があるのはなぜですか?
A. 特定技能外国人も日本人と同様に社会保険・雇用保険への加入が義務です。給与の約15%にあたる事業主負担分は、紹介料や支援委託費と違って「見えにくいが確実に発生する」コストのため、総額試算では必ず含める必要があります。
Q. 「特定技能ならではの追加費用」と「総額」はどちらを予算計画に使うべきですか?
A. 目的によって使い分けてください。「他の採用手段(日本人採用や技能実習)と比べて特定技能を選ぶことで純粋に増える費用」を把握したいなら追加費用(3人で1年目262.8万円、5人で430万円)、「特定技能人材3人・5人を雇用する場合に会社として実際に支払う総額」を予算化したいなら総額(3人で約1,174万円、5人で約1,948万円)を使うのが目的に合っています。
まとめ:費用を「単価」でなく「総額」で把握する
特定技能外国人の受入れ費用は、「特定技能ならではの追加費用」(紹介料・在留資格関連・渡航/住居準備・支援委託費・JAIM会費)と、「日本人採用でも同等にかかる労務費」(給与・社会保険料)を分けて捉えることで、特定技能を選ぶことで実際に増えるコストが明確になります。追加費用は3人受入れで1年目262.8万円、5人受入れで430万円。労務費と合算した総額は3人で約1,174万円、5人で約1,948万円、2年目以降はいずれも約13%減——という実額感覚を持っておくことで、経営会議での予算化や育成就労との比較検討がスムーズになります。10名以上の一括採用ではUTIの紹介料無料キャンペーンも活用できます。
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※ 本記事の費用相場は出入国在留管理庁「特定技能制度運用要領」および特定技能外国人の給与実態集計(令和7年6月分)等の公開情報、業界一般の相場情報をもとにした試算例です。実際の費用は受入企業・登録支援機関・地域により異なります。個別の在留資格判断・費用見積りは行政書士または登録支援機関にご相談ください。
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